空き家を相続したものの、どう活用すればいいのか頭を悩ませていませんか。思い出の詰まった実家を取り壊すのは気が引けるけれど、このまま放置し続けるのも不安——そんな方には、「空き家リノベーション」がおすすめです。
この記事では、空き家リノベーションのメリットやデメリット、気になる費用相場、コストを抑えるコツまでわかりやすく解説します。リノベーション後の利活用の選択肢も紹介しますので、所有する空き家の扱いでお困りの方は参考にしてください。
所有する空き家をリノベーションするメリット

空き家を放置していると、劣化が進むだけでなく、固定資産税の負担が増したり将来の修繕費がかさんだりと、家計への影響も無視できません。リノベーションで手を入れれば、状況が改善する可能性があります。まずは、空き家リノベーションで期待できるメリットをみていきましょう。
建物の資産価値をアップできる
木造住宅は、築20年前後で資産価値がほぼゼロになるといわれます。さらに長年放置された空き家は、取り壊し前提の「古家」として扱われます。解体費用を見込んだ分だけ土地の売値から差し引かれるケースも多く、結果として資産全体の評価を下げる要因になりかねません。
リノベーションで外装をきれいに整え、現代の暮らしに合った設備や間取りを取り入れれば、建物の資産価値を引き上げることができます。老朽化した水まわりをリフォームしたり、フローリングや壁紙を交換したりするだけでも、空き家の印象は大きく変わるはずです。
買主や借主がすぐに入居できる状態に整えておけば、将来売却や賃貸を考えたときにも、有利な条件で進めやすくなります。
倒壊や不法侵入などの管理リスクを防げる
換気やお手入れが行われない空き家は、想像以上のスピードで劣化が進みます。屋根や柱が老朽化した状態で強風や地震に見舞われると、倒壊して近隣のお住まいを傷つけてしまい、損害賠償を求められるおそれもあります。劣化が深刻になる前にリノベーションで構造補強しておけば、こうしたリスクも軽減できます。
また、管理が行き届いていない空き家は、不法投棄や不法侵入が起きやすくなります。きれいに管理された状態を保つことで、不審者が寄りつきにくくなります。
管理不全空き家の指定を防げる

十分に管理されていない空き家は「管理不全空き家」に指定される可能性があります。指定後に市区町村から指導を受けても改善しないと勧告に進み、土地の固定資産税・都市計画税に適用される「住宅用地の特例」が外れます。
この特例が適用されなくなると、固定資産税・都市計画税が大幅に増加します。物件の規模や立地によって実際の増額幅は異なりますが、家計への影響は無視できません。リノベーションで建物を適切に維持していれば、こうした事態を未然に防げます。
解体・新築より費用を抑えられる
「空き家をいっそ解体して新築したほうがいいのでは」と考える方もいるでしょう。しかし、解体費や廃材処分費に加え、新築工事費もかかるため、トータルの費用負担はリノベーションより大きくなります。
一方、既存の柱や基礎といった構造を活かせるリノベーションなら、解体・新築と比べて費用を抑えながら、新築と遜色ない住環境を整えられる可能性があります。加えて、元の住まいの面影を残せるのもリノベーションならではの魅力です。思い出と暮らしやすさを両立できる点は、解体・新築にはない価値といえるでしょう。
空き家をリノベーションするデメリットと注意点

メリットの多いリノベーションですが、気をつけなければならないポイントもあります。検討前に知っておきたい、デメリットと注意点をお伝えします。
劣化状況により多額の修繕費がかかる
長い間人の手が入らず放置されていた家は、見た目以上に傷んでいることが珍しくありません。特に怖いのが、シロアリの被害や雨漏りです。外見はきれいに見えても、基礎や柱といった建物を支える重要な部分が深刻な劣化を起こしていることもあります。
こうした隠れた欠陥を見落としたままリノベーションに取りかかると、途中で修繕が必要になることが判明し、想定外の追加費用がかかる可能性があります。
このリスクを避けるためには、着工前のホームインスペクション(住宅診断)が欠かせません。プロの目で建物の状態をくまなくチェックしてもらえば、補強にいくら必要か事前に想定でき、資金計画に盛り込むことができます。診断費用は通常5万〜12万円程度です。
ホームインスペクションについては、後の章で詳しく紹介します。
建築確認申請により手間と費用がかかる
2025年4月の建築基準法改正で、木造住宅のリノベーションに関わるルールが大きく変わりました。これにより、かつて確認申請手続きが不要だった木造2階建てや、延べ面積200㎡を超える木造平屋建て(いわゆる「新2号建築物」)における大規模の修繕・模様替えが、新たに確認申請の対象となりました。
これらの建物で行う、壁・柱・床・梁・屋根・階段といった主要構造部のいずれかの過半に手を加える大規模なリノベーションでは、原則確認申請が必要となっています。申請が必要かどうかを判断するのは難しいため、詳細はリフォーム会社や建築士にご確認ください。
確認申請には、設計図や構造計算書などの書類が必要なため、新たに申請が必要となったリノベーションは法改正前より費用が高くなりがちです。さらに準備期間も長くなるので、スケジュールに余裕を見ておきましょう。
固定資産税評価額がアップする可能性がある
主要構造部にも手を加える大がかりなリノベーションを実施すると、建物の価値が上がったと見なされ、建物の固定資産税評価額がアップする可能性もあります。そうなれば、毎年の固定資産税や都市計画税の支払いも増えることになるでしょう。
とはいえ、リノベーション後に居住用として活用する限り、先ほど紹介した住宅用地の特例は引き続き適用されます。固定資産税や都市計画税の課税標準額(税額計算のベースになる金額)は大きく圧縮されるため、多少評価額がアップしたとしても、最終的な税額への影響は限定的です。
空き家リノベーションにかかる費用の相場と内訳

空き家をリノベーションするには、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、フルリノベーションと部分的なリノベーションの相場、箇所別のリフォーム費用の目安、そして見落としがちな諸費用のことなど、費用の全体像をお伝えします。
フルリノベーションの費用目安
骨組みだけを残して、内外装を全体的に見直すフルリノベーション。空き家で実施する場合の費用は、1,000万〜2,000万円以上が目安です。昨今の建築費高騰を受け、数百万円で空き家をフルリノベーションするのは難しくなっています。
特に築年数が経過している空き家は、耐震補強や断熱工事が必要になるため、費用がかさみがち。解体中に判明した不具合への対処のため、追加で費用がかかることもあるので、最初から予備費を見込んでおくなど、現実的な資金計画を立てるよう心がけましょう。
部分的なリノベーションの費用目安
比較的状態の良い空き家であれば、気になるところを部分的にリノベーションするのも一案です。500万〜1,000万円ほどかければ、壁紙やフローリングの交換、水まわり設備の更新などをセットで実施できます。
ただし、築年数が古くて状態の悪い空き家の場合、表層のみをリノベーションしても状態の改善は期待できません。費用をかけてでも、フルリノベーションで住宅性能から根本的に見直したほうが、今後の活用にも有利に働くでしょう。
箇所別のリフォーム費用と修繕費用
部分的なリノベーションを検討するにあたっては、工事箇所別のリフォーム費用を押さえておきたいところです。以下に、主な箇所別の費用目安をまとめました。
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工事箇所 |
費用の目安 |
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キッチンの交換 |
50万〜150万円 |
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浴室(ユニットバス)の交換 |
50万〜150万円 |
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トイレの交換 |
15万〜50万円 |
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洗面台の交換 |
10万〜40万円 |
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壁紙の貼り替え・床の張り替え |
10万〜30万円(1室あたり) |
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屋根の補修・葺き替え |
50万〜250万円 |
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外壁の塗装・補修 |
60万〜250万円 |
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シロアリ駆除 |
20万〜50万円 |
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耐震補強工事 |
50万〜200万円 |
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断熱工事 |
50万〜500万円 |
※建物の状態や設備・建材のグレードによって金額は大きく変わります。あくまで目安としてご覧ください。
見た目を整える工事だけでなく、シロアリ駆除や耐震補強、断熱といった建物の安全性・耐久性に関わる工事にも費用をかけておくと、長く快適に使い続けられます。
工事以外にかかる諸費用の確認
空き家リノベーションで見落としがちなのが、工事以外にかかる諸費用です。例えば、次のような費用が発生します。
・設計費(工事費に含まれるケースもあり)
・確認申請の手数料(大規模な修繕・模様替えに該当する場合にかかる)
・ローンの保証料、事務手数料(リフォームローンを利用する場合にかかる)
リフォーム会社から見積書を受け取ったら、どの内容が見積額に含まれているのかを確かめておきましょう。見積りにない費用が生じた場合に備え、見積額の1〜2割を予備費として見込んでおくと慌てずに対応できます。
空き家リノベーションの費用を抑えるコツ

1,000万円以上かかることも多い空き家リノベーション。費用を少しでも抑えたいなら、次に紹介する4つのコツを押さえておきましょう。
空き家改修の補助金制度の利用
空き家の増加が全国的な問題となっていることから、空き家対策への支援を強化する自治体が年々増えています。例えば大阪府藤井寺市では、1年以上使われていない空き家について、利活用のためのリフォームにかかる費用の2/3(上限30万円)を補助する制度を設けています。(2026年6月時点)
こうした制度を活用する際に気をつけたいのが、申請のタイミングです。先に紹介した藤井寺市の制度をはじめ、多くの制度は工事契約前・着手前の手続きを条件としています。申請前に着工してしまうと、要件を満たさず補助の対象外となるため注意が必要です。
申請の機会を逃さないよう、お住まいの自治体に直接問い合わせるか、地元の補助金事情に詳しいリフォーム会社に相談するのがおすすめです。
(参考)藤井寺市「空き家リフォーム補助制度について 」
※補助金制度の内容・募集状況は変更・終了する場合があります。最新情報は各自治体の窓口にてご確認ください。
既存の設備や建材の再利用
まだ使える既存の柱や建具、梁などを活かすことで、リノベーションにかかる材料費を節約できます。再利用によって解体する範囲が減れば、解体費や廃材の処分費も抑えられます。既存部材を活用する箇所と新しい素材を取り入れる箇所を見極めることが、コストを抑えながら質の高い仕上がりを目指すうえでのポイントです。
予算配分にメリハリを持たせた計画
限られた予算で満足のいく仕上がりを目指すなら、費用をかける箇所と抑える箇所を意識的に仕分けることが大切です。例えば、毎日の暮らしやすさに直結する水まわりには予算をかける価値があります。一方、使用頻度の低い部屋は手をかける優先度を下げましょう。また、壁紙やフローリングが傷んでいなければ、張り替えずそのまま活かすのも有効です。こうしたメリハリのある予算配分が、コストを抑えながら納得のいく仕上がりにつながります。
部分的なDIYの活用
壁の塗装や簡単な棚の取り付けなど難易度の低い修繕なら、DIYで費用を節約する方法もあります。工夫次第で、素人の手作業ならではの「味」を加えることも可能です。
ただし、仕上がりの美しさや安全面を考えると、何から何までDIYで済ませようとするのはおすすめできません。そもそも電気工事などは資格が必要であり、無資格の素人がDIYでやることは法的に認められていません。DIYは無理のない範囲で行い、専門知識や資格を必要とする箇所はプロに任せましょう。
空き家リノベーションの一般的な流れ

空き家リノベーションはどのような順序で進んでいくのでしょうか。ここでは、相談から引渡しまでの一般的な道のりを3つのステップで見ていきましょう。
【ステップ1】住宅診断とプランニング
空き家リノベーションの最初の一歩は、専門家にホームインスペクション(住宅診断)を依頼することです。住宅診断の専門家であるホームインスペクターに建物の劣化具合を目視で調査してもらい、補修すべき箇所を洗い出します。着工前に隠れた欠陥を発見できれば、工事を始めてから想定外の費用が発生したり、トラブルが起きたりするリスクを減らせます。
ホームインスペクションで補修の内容が決まったら、いよいよプランニングです。ご自分のお住まいとして使うのか、第三者へ賃貸に出すのか、あるいは民泊として使用するのかなど、希望する用途に適したプランを検討します。
【ステップ2】工事請負契約と建築確認申請
詳細なプランが固まったら、リフォーム会社から見積書が提示されます。見積額が予算に収まっているか、必要な工事が漏れなく盛り込まれているか、余分な内容が含まれていないかといった点を一つひとつ確かめましょう。少しでも気になる点があれば、納得のいくまで担当者に確認することが大切です。
内容に納得できたら、リフォーム会社と工事請負契約を結びます。建築確認申請が必要なケースでは、契約後に申請手続きを実施する流れです。確認済証の交付を受け、建材の手配などの準備が整ったら、いよいよ着工となります。
【ステップ3】完了検査と引渡し
工事が完了したら、担当者と一緒に仕上がりを細かくチェックします。図面どおりに仕上がっているか、設備はきちんと動作するか、建具の建て付けに問題はないか、傷や汚れは残っていないかなどを念入りに確認してください。
もし気になる箇所が見つかったら、その場で手直しを指示することが重要です。契約の内容次第では、引渡しを受けてから修正を依頼すると、追加費用がかかるケースもあります。依頼していた手直しへの対応が確認できれば、代金を決済して引渡しを受けます。
全体期間の目安
空き家リノベーションにかかる期間は、物件の状態や工事内容によるものの、フルリノベーションで4ヶ月〜1年程度が目安です。工事だけであれば3ヶ月前後で終わるのが一般的ですが、プランニングや確認申請といった準備に数ヶ月を要するため、どうしても工期が長くなります。
部分的なリフォームなら数日〜1ヶ月程度で終わる場合もあります。ただし、設備や建材の納品が遅れるとスケジュールどおりにいかないことも。また、季節や天候によっても工事の進み具合は左右されます。多少遅れても焦ることがないよう、余裕をもったスケジューリングを心がけましょう。
空き家リノベーション後の選択肢

空き家リノベーションは、その先の活用方法を見据えて検討する必要があります。用途に適したリノベーションを施すことで、空き家が貴重な資産に生まれ変わる可能性があるのです。代表的な3つの選択肢を紹介しましょう。
自宅や親族の住まいとして活用する
最も考えやすい選択肢が、家族や親族の住まいとして活かす方法です。空き家になったご実家を現在のライフスタイルに合わせて再生すれば、思い出とともに長く大切に住み継いでいけます。
もしご実家がマイホームから離れた場所にあるなら、セカンドハウスや別荘として使うのも一案です。二拠点居住でオンオフを切り替えたり、長期休暇にゆったりと過ごしたりするための場所として活用できます。
賃貸に出して家賃収入を得る
自宅や親族の住まいとして活用する予定がないなら、第三者に貸して家賃収入を得る方法もあります。一般的に戸建て賃貸は供給数が少なく、賃貸でもゆとりある暮らしを希望するファミリー層から根強い人気を誇ります。リノベーション済みとなれば、未改修の物件より借り手を見つけやすくなるでしょう。
借り手が無事に見つかれば、毎月安定した収入が入ってきます。家賃で工事費を回収しつつ、固定資産税や維持管理費を賄えるのが、この方法の大きなメリット。工事費を回収し終えれば、その後の家賃はそのまま利益になります。
ただし、必ずしもすぐに入居者が決まるとは限りません。空室が続くといつまでも工事費を回収できず、出費ばかりがかさむため、立地や周辺の賃貸需要をよく見極めたうえでの判断が必要です。
付加価値を高めて売却する
自力での利活用が難しいようであれば、思い切って売却するのも選択肢の一つです。ただし、売却前にリノベーションするとなると、工事費用を上回る価格で売れなければ赤字になってしまいます。また、空き家を買い求める層はリノベーション前提の場合も多く、現状のまま売り出したほうが、買い手がつきやすいケースもあります。
「現状のまま売却すべきかどうか」で迷ったときは、まず不動産会社に相談するのがおすすめです。
空き家リノベーションはニューイングにご相談を
有効活用できていない空き家をリノベーションすれば、自宅・戸建て賃貸・売却など、活用の選択肢が広がります。今後何十年と住み継いでいけるよう、断熱改修や耐震補強を徹底的に実施するのもおすすめです。自治体の補助金も上手に活用しながら、維持管理費だけがかかる「負動産(持っていると費用ばかりがかかる不動産のこと)」から、価値ある「不動産」へと転換してはいかがでしょうか。
ただし、空き家の選択肢はリノベーションだけではありません。近鉄不動産では、リフォーム部門の「ニューイング」と仲介部門の「近鉄の仲介」が連携しており、リノベーションから売却・買取まで、空き家に関するご相談をワンストップでお受けできます。「どう活用すべきか」の段階からお気軽にご相談ください。
売却・買取をご希望の方は「近鉄の仲介」へ。近鉄沿線のみならず、東京や千葉、広島、福岡など全国57の店舗ネットワークを誇ります。まずは無料査定からご相談ください。
リノベーションをご検討の方は、近鉄のリフォーム「ニューイング」へ。物件の状態やお客様のご要望をふまえ、最適なプランをご提案します。各店舗へのお電話またはホームページのお問い合わせフォームより、お気軽にお問い合わせください。
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