vol.7 座りすぎをやめること
座りすぎをやめること
約30年前の1988年にアメリカの大学から発表された論文では、運動教室に参加する人の約50%が6ヵ月以内に教室を止めてしまう、というデータが発表されました。これは現代においても、また日本においても状況はほとんど変わっておらず、運動を継続して行うことがいかに困難であるかがうかがえます。
では、定期的な運動ができなくても、簡単に行うことができる健康法は何かというと、「座りすぎをやめること」です。世界20ヵ国の成人を対象とした最新の健康科学のデータでは、平日の座位時間は日本人が一番長く、その平均は一日8~9時間で、多くの成人は起きている時間の3分の2近くを座って過ごしているのです。
座りすぎは、肥満、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム、エコノミークラス症候群(静脈血栓塞栓症)などと関係しているとされています。オーストラリアの研究機関からは「1時間座ると22分寿命が縮まる」という衝撃の内容も発表されています。
ちょっとした意識を変えるオススメを以下に紹介します。
オススメ1:家にいる時には、30分に一度は立ち上がりましょう。例えば、テレビのCMの際には、ちょっとだけ片づけをする、などの家事を立ったついでに行いましょう。
オススメ2:仕事場では、30~60分に一度、デスク周りを片付ける、ゴミを捨てに行く、外気に触れに行くなど、椅子から立ち上がる用事を入れましょう。小休憩にもなり、仕事の効率もあがります。
オススメ3:電車に乗ったらすぐに座る座席を探すのではなく、立って悠々と外の景色を楽しみましょう!
オススメ4:車で外出した際には、運動の休憩として座って休むのではなく、ちょっと歩く、簡単なストレッチをする、などの体を動かすことによるリフレッシュを心がけましょう。
(参考:「長生きをしたければ座りすぎをやめなさい」岡浩一郎・著)
【コラムの執筆】 |
日本学術振興会特別研究員を経て、2009年早稲田大学スポーツ科学学術院研究院助教、2013年奈良女子大学文学部人間科学科スポーツ科学コース准教授となり、2014年より現職。スポーツ心理学・認知神経科学を専門とし、運動中の感覚認知メカニズム等について研究を進めるとともに、指導や講演にも従事。 |