vol.4 サイレントキラー・高血圧

中田先生の健康コラム サイレントキラー・高血圧一般的に、血圧は高齢になるほど高くなる傾向にありますが、「高血圧」の具体的な症状を思い浮かべられるでしょうか?

高血圧はアメリカでは、「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」と呼ばれることもあり、「体のどこかが痛い」といった自覚症状はほとんど現れることがありません。いつの間にか高血圧になっていたという例がたくさんあります。

高血圧の状態を長い間放置すると動脈硬化が進行し、脳卒中や心疾患などの命に関わる重大な病気につながります。

2017年に厚生労働省が発表した「患者調査」によると、高血圧の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、悪性新生物や糖尿病の総患者数をおさえ、最多の993万7千人でした。高血圧はまさに国民病の一つと言えます。

日本人の高血圧の大半は、本態性高血圧というもので、遺伝、運動不足、肥満、喫煙などの様々な要因が組み合わさって起こります。

 髙血圧を防ぐには、生活習慣の修正が必要です。まずは食事の際の塩分に気を付けること(食事療法)、そして運動をすること(運動療法)です。それぞれ降圧効果が得られます。

日本人の食文化は、外国人よりもどうしても塩分を多く摂取し過ぎてしまう傾向があります。高血圧の方は、減塩みそや減塩醤油などの減塩商品を意識し、減塩に取り組みましょう。

また運動では特に、ウォーキング(速歩)・軽いジョギング・水中運動・自転車などの有酸素運動がおススメです。個人によって基礎体力・年齢・体重・健康状態などが異なりますので、中程度「ややきつい」と感じる程度の運動強度(心拍数が120拍/分前後)が最適です。できれば定期的に行って下さい。

食事と運動を意識して、サイレントキラーに負けない生活を心がけましょう!


【コラムの執筆】
奈良女子大学 中田大貴先生
中田大貴先生
奈良女子大学 研究院生活環境科学系スポーツ健康科学領域 准教授 博士(理学)

日本学術振興会特別研究員を経て、2009年早稲田大学スポーツ科学学術院研究院助教、2013年奈良女子大学文学部人間科学科スポーツ科学コース准教授となり、2014年より現職。スポーツ心理学・認知神経科学を専門とし、運動中の感覚認知メカニズム等について研究を進めるとともに、指導や講演にも従事。