vol.1 痩せるための最適な運動強度

痩せるための最適な運動強度 運動は、高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳卒中、認知症などの様々な病気の予防に有効です。特にウォーキング、ジョギング、サイクリング、スイミング、エアロビクスなどの有酸素運動は、これらの病気の予防に効果的であることがわかっています。マラソンブームもあり、外でジョギングをされたり、スポーツジムや施設にあるトレッドミルを利用される方も多いかと思います。そして、中高年の方は「気になる脂肪を何とか減らしたい!」と思い、一生懸命頑張って走っている方も多いと思います。

痩せるためのジョギングで一番気をつけなければいけないことは、運動強度です。「脂肪は20分以上有酸素運動をしないと燃焼しない」と聞いたことがある方もいるかと思いますが、実はこれは半分本当で、半分は間違っています。正しくは「20分以上続けられるような運動強度ではないと、脂肪は燃焼しない」ということです。

実は1分間のジョギングでも脂肪はエネルギーとして使われます。エネルギー供給系として、運動強度が高くなると糖質の依存度が高まり、脂肪の利用が低下します。つまり、脂肪がエネルギー源に成るか否かは、時間ではなく、運動強度に依存するということです。

そして、最適な運動強度はどのくらいかと言いますと、「ややきつい」と感じるくらいの強度です。心拍数ですと120〜130拍/分です。生懸命頑張って「きつい」、「非常にきつい」と感じる強度でジョギングをしても、脂肪は燃焼しません。また反対に「楽すぎる」強度でも燃焼しません。「きつい」と感じたら、ジョギングのスピードを落として、「ややきつい」と感じるくらいまでに運動強度を下げることがオススメです。無理をしない範囲で、色々な有酸素運動にチャレンジしてみて下さい!


【コラムの執筆】
奈良女子大学 中田大貴先生
中田大貴先生
奈良女子大学 研究院生活環境科学系スポーツ健康科学領域 准教授 博士(理学)

日本学術振興会特別研究員を経て、2009年早稲田大学スポーツ科学学術院研究院助教、2013年奈良女子大学文学部人間科学科スポーツ科学コース准教授となり、2014年より現職。スポーツ心理学・認知神経科学を専門とし、運動中の感覚認知メカニズム等について研究を進めるとともに、指導や講演にも従事。