vol.5 朝食を摂ったほうが太りません!

 近鉄の健康コラム 朝食を摂ったほうが太りません厚生労働省が行った「平成29年国民健康・栄養調査」によると、男性は15.0%、女性は10.2%の人が朝食を摂らない(菓子・果物のみ、錠剤などのみも含む)という結果が報告されています。年齢階級別にみると、男女ともにその割合は20歳代で最も高く、それぞれ男性30.6%、女性23.6%とされています。

朝食を摂らない理由として、「できるだけ寝ていたい」、「朝食の用意が面倒」等があると思いますが、「ダイエットのために朝食を摂らない」と考える方はたくさんいらっしゃるかもしれません。

しかし、朝食を抜いたほうがむしろ太りやすいことをご存知でしょうか?確かに、朝食を抜いたほうが摂取カロリーは低くなりますが、朝食を抜いた後、昼食を食べた際の血糖値の上がり方はとても大きくなってしまいます。つまり、太るメカニズムはカロリーだけで全てが説明できるのではなく、血糖値の上がりを意識しなければなりません。

たとえば、「うどん」だけを食べる場合と、「うどん」「サラダ」「ゆで卵」を食べる場合を考えると、どちらの方が血糖値が上がらない食事だと思いますか。おそらく「うどん」だけの方が血糖値が上がらないと考える方が多いと思います。

しかし、実際には、メニューの数が増えると摂取カロリーも増えますが、血糖値の上昇には影響せず、むしろバランスよく、食品数を増やし、様々な栄養素を摂取した「うどん」「サラダ」「ゆで卵」を食べた場合の方が血糖値は上がらないのです。

2013年にアメリカのミズリー大学から発表された論文では、たんぱく質の多いしっかりとした朝食を食べた方が日中の食欲を抑えられ、短期間に体重減をもたらすことが実験で確かめられています。痩せたいのであれば、朝食をきちんと摂ることが大切です。 


【コラムの執筆】
奈良女子大学 中田大貴先生
中田大貴先生
奈良女子大学 研究院生活環境科学系スポーツ健康科学領域 准教授 博士(理学)

日本学術振興会特別研究員を経て、2009年早稲田大学スポーツ科学学術院研究院助教、2013年奈良女子大学文学部人間科学科スポーツ科学コース准教授となり、2014年より現職。スポーツ心理学・認知神経科学を専門とし、運動中の感覚認知メカニズム等について研究を進めるとともに、指導や講演にも従事。