vol.3 「スロートレーニング」

健康コラム「スロートレーニング」のススメ

年代ごとに体つきが変わってくることは皆さんも何となく感じているのではないでしょうか。

筋肉量は30代をピークに10年毎に約5%前後の割合で減少し、60歳を超えるとその減少率は加速するという研究報告がされています。

健康寿命を延ばし、いつまでも自分の足で歩き、寝たきりを防ぐためにも筋肉を自分の体に蓄えておくことの重要性は、ますます高まってきていると言えるでしょう。

 全身の筋力低下を防ぐためには、やはり筋力トレーニングが一番効果的です。「筋力トレーニング=ダンベルを持ち上げる」というイメージがありますが、スポーツジムや体育館などに行かなくても、自分の体重を利用する「自重負荷トレーニング」によって、お家で簡単にトレーニングすることができます。

いわゆる、腕立て伏せ、スクワット、足上げ腹筋などは自重負荷トレーニングになりますが、より短時間で効果的なのはこれをゆっくり行うことです。

専門的には「スロートレーニング」と呼ばれています。例えば、通常のトレーニングでは、2~3秒程度でダンベルを上げ下ろししますが、スロートレーニングでは5秒以上の時間をかけてゆっくり行うことがポイントです。

スクワットの場合では、ゆっくり5秒かけて腰を下ろすし、ゆっくり5秒かけて腰を上げることで通常よりも大きな負荷をかけることができます。おそらく、今まで10回行っていたスクワットが、5回できつくなるくらいの十分な負荷になると思います。

腕立て伏せや足上げ腹筋なども同じようにゆっくり行ってみてください。1日10分行うだけ、体つきが変わってきます。

無理をしない範囲で挑戦してみてください。いつまでも健康に生活していくために、筋肉貯金をしていきましょう。お金は使えば減っていきますが、筋肉は使えば増えていきます! 


【コラムの執筆】
奈良女子大学 中田大貴先生
中田大貴先生
奈良女子大学 研究院生活環境科学系スポーツ健康科学領域 准教授 博士(理学)

日本学術振興会特別研究員を経て、2009年早稲田大学スポーツ科学学術院研究院助教、2013年奈良女子大学文学部人間科学科スポーツ科学コース准教授となり、2014年より現職。スポーツ心理学・認知神経科学を専門とし、運動中の感覚認知メカニズム等について研究を進めるとともに、指導や講演にも従事。